アクティブ・ラーニングのためのマーケティング・ショートケース
「THE TEAM 5つの法則」の輪読が終わり、第11~13回目のゼミではケースメソッドを行いました。若林ゼミは経営学・組織論を学ぶゼミであるので、組織論のほかにこのような経営戦略やマーケティングなどに関わる分野も扱います。
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ケースメソッドとは?
・ケースメソッドとは:ケースを通じて学んでいく方法。
(ケースとは、ある意思決定主体の状況を記述したもの。ケースでは実在の企業の例が取り扱われることも珍しくはない。)
・そのケースで設定された主人公の立場で、ケース内の情報をもとに、ケースの時点での意思決定を行う。
(ケースに書かれていない情報などは特に調べる必要はない。ケース内の情報だけでは足りない場合は現実的な仮定をして考える。)
・ケースメソッドには正解はない!
・経営の答えはケース・バイ・ケース!
(実在の企業が取った行動であってもそれが正解とは限らない。もっと良い選択肢があったかもしれない場合もある。実在の企業が取った行動であってもそれが正解であると思わずに取り組むことが大切。)
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ケースメソッドの目的
・自分なりに論理的に結論を考えた上で議論を行い、学んだ理論や手法を使いながらそれらをより深く理解し、同時に、考える力や意思決定する力を身に付ける。
(意思決定が正解かどうかと考えるより、意思決定を行うまでの過程が論理的に考えられているかが大切。)
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ケースメソッドの取り組み方
・多くの場合、ケースメソッドのケースには設問がついているので、その設問に答える形で進行する。
・個人研究(予習)→グループ討議→クラス討議(全体討議)の順に進める。各段階で行うことは以下の通り。
〇個人研究
・自分個人でそのケースを読み、設問に対する回答を論理的に考える。
e.g.数多くの選択肢がある中で、なぜその選択肢を選ぶのか、どのような点が他の選択肢より優れているかなどについて深く考える。
〇グループ討議
・4~10人程度のグループでケースに関しての議論を行う。
・クラス討議のための準備(頭や論点の整理をすることが目的)。
・グループでの合意や意見の集約は必要ない。
〇クラス討議(全体討議)
・クラス全体で話し合う。
・形式的な進行はしないので、積極的な発言が求められる。
以上がケースメソッドについての概要です。
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扱った内容
今回は、中央経済社が出版している「アクティブ・ラーニングのためのマーケティング・ショートケース―ビジネススクール流思考力トレーニング」に書かれているケースを扱い、ケースメソッドを行いました。
この中でも
「ある日の午後の喫茶店風景」
「ザ・リッツカールトン大阪」
を扱いました。
「ある日の午後の喫茶店風景」と「山田太郎氏、豆腐屋を継ぐ」のケースの内容は以下のサイトで見られるので、気になる人はチェックしてみてください。
https://www.biz-book.jp/book_data/browse/978-4-502-34821-1/pdfViewer/index.html#/pc
ショートケースであるので、ケースのページ数としては数ページ程度と短かったのですが、ケースを読んで理解するのに時間がかからず、その分個人研究に時間を費やすことができ、短時間の予習で実りのあるケースメソッドを行うことができました。
その中でも今回は「山田太郎氏、豆腐屋を継ぐ」のケースで出たアイデアを紹介したいと思います。どんなケースか詳しく知りたい方は先ほど紹介したサイトをチェックしてみてください。
ケースメソッドを通じて生み出されたアイデアをいくつか掲載します。
ターゲット |
ファミリー層 |
富裕層 |
小学校 |
Product(製品) |
大人2人と子供1人というファミリーで食べきれるように1.5丁のサイズの豆腐 |
高級豆腐 |
通常サイズの豆腐 & 豆腐工場の工場見学や豆腐作りの体験 |
Price(価格) |
80~90円 |
300円以上 |
100円程度 学校給食で自社の豆腐を使用してもらう代わりに工場見学などのサービスも提供する。 |
Place(流通) |
スーパー |
百貨店、 高級スーパー、 高級料理店 |
小学校 |
Promotion(販売促進) |
チラシ、店頭 |
プッシュ戦略 |
人的販売 |
これらはあくまで一部ですが、このほかにも様々なアイデアが生み出されました。
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振り返って
私たちの身近にある商品を売る場合でもこんなにも様々な方法があるのだと気づかされました。また、物事を特定の角度から見るのではなく、様々な角度から見ることにより様々なアイデアが生まれ、アイデアをより良いものができるのだと思いました。実際に、紹介したアイデアはクラス討議を通じ他のゼミ生などを交えてブラッシュアップされています。
ビジネスプランの立案や商品開発などを行うこともあるゼミなので、その際には様々な角度からの意見を交え、より良いプランの立案や商品開発ができるようにしていきたいと思いました。